思い出の最近のブログ記事

雷と水上置換法

| | コメント(4)

夕方から振っていた雨が夜半になり雷雨となった。
庭を流れる雨の川を見るのは好きだ。
特に少し肌寒い程度で手にお茶を、おやつにプリンがあればもっと良い。

プリンといえば昔やった実験を思い出す。
電解質を含んだ水に電極を落とし、そこへ電流を流すと水素が発生するという実験、電気分解という奴だ。当時中学生でそれを学んだ自分は、水素というなんとも子供心をくすぐる未知の気体が、普段慣れ親しんだ水から得られるという行為をいたく気に入り、家でもそれをやりたくてたまらなかった。

親の目を盗んでサラダボウルと食塩、プッチンプリンを持ち出し、使わなくなったACアダプタを用意する。
理科の実験では水酸化ナトリウムを用いたが、普通の家庭にそんなものがある訳もない。塩、つまり塩化ナトリウムはそれ自体電気を通さないが、水溶液にすると伝導体となる。これで代用とするのだ。
ACアダプタは安定化電源の代わりだ。出力は9Vの物だったと思う。恐らくファミコンのではなかろうか。DCジャック側をばっさり切断し、銅線をむき出しにする。これで電極と電源の完成となる。
プッチンプリンは、水素の集まり具合を見ながら優雅に食べよう、と持ってきたのではない。この空容器を水上置換の受け皿に用いて水素を集めようという寸法だ。しかしなぜプッチンプリンなのか。その理由はこのプッチン部分にある。水素は空気より軽いので当然上に集まる。そこでこのプッチンを折り、酸素と混合させて爆発させようという試みである。まさかグリコの設計者もこんな使われ方をするとは思っても見なかっただろう。

こうして準備は整った。電極を、今や魔法の電解液となった島根の水道水へ突っ込む。陰極側からわずかにだが気泡が出てきた。やった、水素だ。しかし反対から出てくる謎の黒い、藻のような物が出ている。これが人体に有害である塩素であると知ったのは、後日理科の先生に聞いてからの事だった。それまで幾度、塩素入りサラダボウルを使った事か。もしかすると塩素は思ったよりカラダに悪くないのでは?とも思う。思いたい。実験では見なかった謎の物体を不思議に思いつつ、30分もしてようやく容器の半分ぐらいまで気体が溜まった。

集めたら、次は当然爆発だ。爆発は燃焼のすごいバージョンなのだから、火が要る。額に入れただけで爆発するのは芸術だけだ。容器を傾けないように、炎を近づけつつプッチンを折る。甲高い破裂音と共に宙を舞うプリンの容器。まさか飛ぶとは思わなかった。

これには度肝を抜かれた自分は、科学の恐ろしさを痛感したのだった。もし自分の将来が1943年のロスアラモスの研究員だとしたら、この時の経験を元に決して原爆など作らなかっただろう。プリン一つで変わる歴史もあるのだ。

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち思い出カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはビジネスモデルです。

次のカテゴリは映画です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

思い出: 月別アーカイブ

Powered by Movable Type 4.12